こんにちは、食いしん坊スタッフの山田です。
今年の冬は暖かいと思っていましたが、流石に年越し辺りから空気が深々と冷えますね。
その分温かい料理が身に沁みるおいしさなのが、この時期の個人的な醍醐味です!
皆さんもたくさん食べてご自愛ください!(^^)!
さて、今回は遺言書とその保管方法についてです。
遺言書を遺そうとしている方にはもちろんですが、逆に遺言書を遺される可能性のある方にも読んで頂きたいトピックです。
こんな制度があるんだと知っておくことで、いざという時に慌てずに活用できますよ♪
遺言書について
〇自筆証書遺言とは?
遺言保管制度とは?
制度を利用できる方
制度のメリット
〇適正に管理・保管されるので改ざんの危険性がない
〇遺言書の存在を相続人等にあらかじめ伝える事ができる
〇相続開始後に裁判所の検認が不要となる
〇遺言書保管官に遺言書の外形的なチェックをしてもらえる
〇公正証書と違い、証人が不要
制度のデメリット
〇本人が遺言書をすべて書く必要がある
〇遺言書保管官は遺言書の内容についてはチェックしてくれない
〇申請の際に本人が法務局に直接行く必要がある
遺言者の手続き
〇遺言書保管の申請
〇必要書類
〇申請以外に遺言者ができること
相続人等の手続き
〇遺言書保管事実証明書の交付
〇遺言書情報証明書の交付
〇遺言書の閲覧
制度を使いこなすポイント
〇遺言者
〇相続人等
さいごに
遺言書について
遺言書に種類があるのはご存知ですか?
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
の3つがあります。
それぞれにメリットデメリットがあり、一般的によく利用されるのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。
今回は自筆証書遺言に焦点を当てて、預けるための制度などについてみていきましょう!
〇自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、全文を自身で手書きした遺言書のことです(財産目録のみパソコンで作成してもOK)。
他にも、作成した日付を正確に自筆で書くこと、氏名を自筆で書き印鑑を押すこと、など様々なルールがあります。
とはいえ他の形式の遺言書よりは遺言を残す方(以下、「遺言者」という)にとって、気軽に書くことが出来る方法だと思います。
しかし、遺言書を書いた後の保管方法がなかなか難しく、自宅で保管するとなると
・相続人に発見してもらえない
・改ざんされる危険性がある
・相続が起きた後に裁判所の検認が必要
などの懸念点があります。
遺言保管制度とは?
上記の問題を解決してくれるのが、令和2年7月10日に施行された比較的新しい制度の「自筆証書遺言保管制度」です。
自筆証書遺言を遺言保管所(法務局)に保管申請することで、遺言書の原本は遺言者亡き後50年間、画像データとしては150年間という長期間にわたり大切に保管されます。
相続開始後、保管所にて遺言書情報証明書等の受取や遺言書の閲覧が可能となります。
相続人等のうち1人が、遺言書情報証明書等の交付を受けたり、遺言書の閲覧を行った場合、その他の相続人全員に対して遺言書が保存されている旨の通知が届きます。
遺言者があらかじめ、相続開始後にすぐ通知がされる「指定者通知」を希望しておくことも可能です。
⇒指定者通知について
制度を利用できる方
遺言書の申請は、遺言者のみ可能です。
尚、代理人による制度の利用は認められていません。
⇒遺言者の手続きについて
相続人等が制度を利用できるのは、遺言者が亡くなった後となります。
⇒相続人等の手続きについて
制度のメリット
〇適正に管理・保管されるので改ざんの危険性がない
遺言者の生前に遺言書の閲覧・変更・撤回を請求できるのは、遺言書の作成者のみです。
相続人等は基本的に相続開始後の閲覧以外に、遺言書の原本に関与することはできません。
〇遺言書の存在を相続人等にあらかじめ伝える事ができる
遺言書が保管所にある事で、相続人等に遺言書の存在を明かしてもトラブルの心配がないため、生前に安心して伝えることが出来ます。
それにより、相続人等に遺言書を発見してもらえないというリスクが回避できます。
遺言書保管の申請の際に保管証が発行されるので、コピーして相続人等に渡しておくとより確実です。
〇相続開始後に裁判所の検認が不要となる
裁判所の検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
自筆証書遺言は裁判所の検認が必要ですが、制度を利用することにより不要となります。
〇遺言書保管官に遺言書の外形的なチェックをしてもらえる
遺言書の書式に不備がないか、という事に限りチェックしてもらえます。
内容の相談などは出来ないので注意が必要です。
〇公正証書遺言と違い、証人が不要
公正証書遺言は公証役場にて遺言書を作成しますが、その際に証人が2人必要となります。
制度を利用することで、前述の自筆証書遺言の懸念点が3つとも解消できます。
自筆証書遺言の使い勝手が格段に良くなりますね!
制度のデメリット
〇本人が遺言書を全て書く必要がある
文字を書けない状況の方は、遺言書の作成方法として利用できません。
この場合は口頭で作成できる公正証書遺言の方が適切です。
〇遺言書保管官は遺言書の内容についてはチェックしてくれない
上記メリットにもある通り、内容の相談には応じてもらえません。
なので、遺言者の意図した通りの効果が生じないことや無効となってしまう可能性もあります。
〇申請の際に本人が法務局に直接行く必要がある
遺言者本人のみが遺言書の保管の申請ができます。
代理人による申請や郵送による方法は認められていないので、現地に出向くことが出来ない方は制度を利用できません。
遺言者の手続き
メリット・デメリットともにありますが、では実際に遺言書を保管するためにはどのような手続きが必要なのでしょうか?
〇遺言書保管の申請
具体的な申請の流れをみていきましょう。
①自筆証書遺言を作成する
自筆証書遺言とは?でお伝えした通り、遺言者本人が作成しなければなりません。
不明な点がある場合は法律の専門家に相談しましょう。
②保管の申請をする遺言書保管所を決める
どこでも好きな場所を選べるわけではなく、下記のいずれかを選択します。
・遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
・遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
・遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
また、2通目以降、追加で保管をする場合は、最初に申請した遺言書保管所にしか申請できません。
③遺言書の保管申請書を作成する
保管申請書の様式はこちらから、記載例と注意事項はこちらからご覧ください。
どちらも法務省サイトにて公開されています。
申請書を印刷して、保管所へ行く前にあらかじめ記入しておきます。
④保管の申請の予約をする
手続きをするには予約が必須となります。
⑤遺言書保管所に直接行き、保管の申請をする
デメリットでもお伝えしましたが、申請が出来るのは遺言者本人のみです。
⑥保管証を受け取る
保管証に記載されている保管番号が分かると、保管している遺言書に関しての手続きを行う際に便利です。
保管証は再発行できませんので、大切に保管しておくことをお勧めします。
〇必要書類
①遺言書
②保管申請書
上記にもあるように、事前に記入してから持参する必要があります。
③住民票の写し等
本籍と筆頭者の記載があり、マイナンバーと住民票コードの記載のないものを提出します。
④身分証明書
遺言者の本人確認のために必要となります。
⑤手数料
遺言書1通につき3,900円を収入印紙にて納めます。
手続き当日に担当者からの指示に従って貼り付けるので、事前に用紙に貼らなくて大丈夫です。
〇申請以外に遺言者ができること
①遺言者の閲覧
相続開始前に預けた遺言書の閲覧の請求ができるのは、申請した遺言者本人のみです。
モニターにて閲覧する場合1回につき1,400円、原本を閲覧する場合は1回につき1,700円の手数料が必要です。
②遺言書の保管の申請の撤回
預けている遺言書の保管を取りやめたい場合「遺言書保管の申請の撤回」を行い、自身の遺言書の返還を受けることができます。
遺言書の内容を変更したい場合なども、一度撤回して内容を変更したのち、再度保管の申請をする必要があります。
この手続きは遺言者本人のみ行うことができます。
手数料は不要です。
③変更の届出
・遺言者自身の氏名、生年月日、住所、本籍(又は国籍)及び筆頭者
・遺言書に記載した受遺者・遺言執行者等の氏名又は名称及び住所
上記に変更が生じた場合は速やかに遺言書保管所に届け出なければなりません。
この手続きは遺言者本人又は遺言者の親権者や成年後見人等の法定代理人が行うことができます。
手数料は不要です。
相続人等の手続き
すべての手続きは、遺言者が亡くなった後に行うことができます。
郵送で手続きを行う場合以外は、必ず保管所の予約を取る必要がありますのでご注意ください。
手続きのできる方は、
・相続人、受遺者等、遺言執行者等の方
・上記の方の親権者や後見人等の法定代理人
となっています。
〇遺言書保管事実証明書の交付
家族や知り合い等が作成した遺言書で、自分を相続人・受遺者・遺言執行者等としているかどうかを確認することが出来ます。
証明書1通につき800円の手数料が必要です。
〇遺言書情報証明書の交付
画像情報として保存されている遺言書が全て印刷されているので、遺言書の内容を確認することが出来ます。
遺言書保管所に保管された遺言書の原本は、相続人であっても返還してもらうことは出来ません。
なので、各種手続きには遺言書情報証明書を原本の代わりとして使用することが出来ます。
証明書1通につき1,400円の手数料が必要です。
〇遺言書の閲覧
遺言書の内容を確認するため、遺言書保管所に対して、遺言書の閲覧を請求することが出来ます。
方法は2通りあります。
・原本閲覧…遺言書が保管してある遺言書保管所にて原本を閲覧する方法
・モニター閲覧…全国どの保管所からでもモニターにて閲覧することが出来る方法
原本閲覧は1回につき1,700円、モニター閲覧は一回につき1,400円の手数料が必要です。
制度を使いこなすポイント
〇遺言者
「指定者通知」をあらかじめ希望しておくと、相続人等の閲覧等を待つことなく相続開始後すぐに、対象者最大3名に対して通知されます。
指定者通知を希望
↓
遺言書保管所にて、戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実を確認
↓
対象者に遺言書が保管されている旨の通知がされる
という流れです。
正確な通知を行うために、指定者通知を希望した後に通知対象者の氏名・住所等に変更が生じた場合は、変更の届出を行う必要があるので覚えておきましょう!
〇相続人等
上記にも記載しましたが、どの手続きも遺言書保管所への予約が必要です。
予約をしないまま保管所へ行っても対応してもらえませんので、何をするにもまず最初に予約を行いましょう。
肝心の予約方法ですが、2通りあります。
①法務局手続案内予約サービスの専用HPでの予約
24時間いつでも利用可能なので、最もオススメの予約方法です!
こちらのリンクから全国の保管所の予約サイトにアクセス出来ますので、ネットから予約する場合はご活用ください。
②予約を取りたい遺言書保管所への電話又は窓口での予約
遺言書保管所(法務局)は平日9:00~17:00まで(土日祝日、年末年始を除く。)営業しています。
予約する際の注意事項
・予約は、手続を行う本人が行う
・予約できる期間は翌営業日~30日先まで(当日の予約は不可)
・午前中は翌営業日以降の予約、午後は翌々営業日以降の予約をすることができる
例① 月曜日の午前に予約→最も早い予約は火曜日
例② 月曜日の午後に予約→最も早い予約は水曜日
・専用HPから予約した場合は、予約日時の変更をHPで行うことができる
・当日キャンセル等については、直接、予約をした遺言書保管所への電話連絡が必要
・申請する人数分の予約が必要
例 夫婦でそれぞれ1通ずつ申請をする場合、2件の予約をする必要がある
さいごに
自筆証書遺言保管制度は条件が合えば、自筆証書遺言を利用する方にとってとても便利な制度です。
義務となった相続登記を滞りなく進めるためにも、遺言を残しておくことは重要となります。
争いなく相続が終われば一番いいですよね!
また相続登記をする上で便利な情報があれば、積極的に発信していきたいと思います。
気になる方は是非またチェックして下さいね~!
相続について心配事やご相談等がありましたら、 お気軽に当事務所へお問い合わせください。
2025年2月12日